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STEP1:心臓のはなし
心臓のはたらきと心臓疾患・不整脈について

わたしたちのからだを毎日支え、重要な役割をはたしている心臓。しかし、時としてその心臓に異常をきたすことがあります。

ここでは、その心臓のはたらき、そして心臓のリズムや拍動の病気、いわゆる不整脈について簡単に取りあげます。

心臓のはたらき

わたしたちのからだは、血液から酸素や栄養物を取り入れています。そして、この血液をからだ全体に絶え間なく送り出す重要なポンプの役割をになっているのが心臓です。

心臓の収縮と電気信号

心臓が規則的に拍動するためには、歩調取りの命令が必要です。この命令をだしているのが洞房結節(とうぼうけっせつ)とよばれる特殊な細胞の集まりで、右心房に位置しています。洞房結節は「自然のペースメーカ」ともよばれ、ごく弱い電気信号を規則的に出しています。電気信号は、心房のなかにある刺激伝導路(電気の配線)を流れていきます。

この刺激伝導路のなかには中継点として、房室結節(ぼうしつけっせつ)とよばれる第二の特殊な細胞の集まりがあり、心臓の中央近くに位置しています。この房室結節は、受けとった電気信号をさらに刺激伝導路を通じて心室の壁に送り出します。この一連の電気の流れによって、心臓全体に命令が行きわたり、この命令を受けた心臓の筋肉の運動によって心臓は収縮します。

 

SAN 洞房結節
AVN 房室結節
RA 右房
RV 右室
LA 左房
LV 左室
RBB 右脚
LBB 左脚

不整脈

心臓は規則正しいリズムで拍動を繰り返していますが、時として不規則に、あるいは正常以上の速さで、逆に正常以下のゆっくりしたスピードで拍動することがあります。心臓のリズムや拍動が異常であれば、すべて不整脈(調律異常とも呼ばれています)となります。

不整脈の原因

 

  • 心臓の刺激伝導路や電気の流れ方に問題がある。

  • 他の心臓の病気によって心臓のはたらきが弱まったり、心臓の筋肉の一部が機能しなくなる。

  • 年齢と共に自然に心臓の機能や筋肉のはたらきが弱まる。

  • 特定の薬による副作用。

  • 心臓に関連しない他の健康問題。

不整脈による症状

 

  • 遅いまたは早い拍動。

  • 胸のあたりの震え。

  • ドキドキ感。

  • 頭がふらふらする。

  • 胸の痛み。

  • 息切れ。

  • めまい、気が遠くなる。

  • 失神する。

生活の改善

不整脈の治療以外に、心臓をより健康な状態に保つために、日々の生活様式を改善することが必要になることもあります。

  • 食事への注意。

  • 運動量を調整する。

  • 喫煙をやめる。

  • カフェインやアルコールの摂取量を減らす。

  • ストレスなどを減らす。

不整脈の種類

不整脈は、その発生の仕方や形態、発生箇所、そして電気信号の伝わり方などにより、さまざまに分類されますが、それぞれが単独、またはいくつかの不整脈がそれぞれ影響しあって混在して発生することもあります。

ペースメーカが必要となる代表的な不整脈・徐脈性(じょみゃくせい)不整脈

心臓の拍動が、毎分およそ50回以下になった遅い脈が徐脈とよばれますが、その拍動が突然異常に少なく(遅く)なったり、急に止まってしまうこともあります。このような徐脈が起こっている間は、それだけ血液を送り出す回数が減ってしまい、必要とされる血液の量が不足します。このため、酸素を含んだ血液が脳やからだに十分送られなくなり、めまいや疲労を頻繁に感じたり、場合によっては失神に致ることもあります。

洞(機能)不全症候群

心臓のリズムの指令センター"自然のペースメーカ"としての洞房結節のはたらきの異常、またはその故障により起こります。指令の回数が非常に少ない、突然指令が出せないなど、洞房結節が適切に規則正しい電気信号を送り出さないため、結果として心臓の拍動が遅くなってしまう現象が現れます。

房室ブロック・心ブロック

心臓の電気配線の中継点である房室結節や、それ以降の配線に異常がある場合に起こります。そして"自然のペースメーカ"としての洞房結節から送り出された電気信号が心室に伝わるのが遅くなったり、全く伝わらないといった現象が現れます。

不整脈や心臓疾患の検査について

心臓に由来するであろう症状が認められた場合、問診による診察からはじまります。一般検査、その後の必要に応じたより詳しい検査などによって治療方法が検討されます。

一般検査

一般検査には以下が含まれます。

  • 血液検査
    心臓の病気に関する危険性(危険因子)や心臓、他の器官の状況を判断します。 赤血球数、白血球数、血小板数、ヘモグロビン値などを測定します。
    (血液生化学検査では血糖、脂質、酵素など約20項目の成分測定)

  • 尿検査
    合併症(糖尿病、腎臓病)、ホルモン分泌状況等を確認します。

  • 12誘導心電図検査(ECG)
    不整脈、心筋の肥大、心筋梗塞などを判読します。心臓の中の電気信号の伝わり(伝導)を測定します。一般検査としての心電図は、不整脈をはじめ心臓の病気全般において効果的な検査です。心臓が 正常に活動しているときは、一定の間隔で規則正しい波があらわれますが、異常があると波の形や間隔が乱れたりします。

  • 胸部X線検査(レントゲン検査)
    心臓の位置、形、大きさ、肺、その他血管状態を確認します。

より詳しい検査

 

  • ホルター心電計や携帯型心電図記憶装置
    これらは、特定の期間、体に装着する携帯式の心電計で、日常生活において、特に予測できない時間に起こる不整脈や特定の症状を診断するのに役立ちます。

  • 植込み型心電図記憶装置
    植込み型ループ式心電計とも呼ばれ、より長期間心臓の拍動を継続的に監視し、通常の心電図検査やホルター心電計等ではとらえることが困難な不整脈や、失神などの症状が起きた際の心電図を記録する植込み型の医療機器です。

  • 運動負荷テスト・ストレステスト
    安静時の心電図ではよくわからない心臓病を診断する際に用いられます。心臓は運動したり興奮したりすると、リズムが自然に速くなりますが、それが不整脈や症状を引きおこすことがあります。心電図の電極を装着した状態で運動をおこない、心臓に負担をかけながら診断がおこなわれます。

  • 特殊な心電図検査
    ・レートポテンシャル・加算平均心電図
    ・ベクトル心電図
    ・T波オルタナンス・タービュランス

  • チルトテーブル試験
    不整脈の症状としての失神に対する検査方法で、検査台(ベット)の上で横になって、起立時に心拍数や血圧などが監視されます。

  • 電気生理学的検査(EPS)
    特別な記録装置やモニターを備えている検査室(カテーテル検査室、心臓血管造影室、電気生理検査室など)でおこなわれる心臓の中の電気的な活動を直接記録する侵襲的な検査です。検査の手順や方法はさまざまですが、主にX線透視下にて、カテーテルとよばれる長く細い柔軟なチューブや同様の電極のついたものなどが、腕または足の静脈より心臓の中へ挿入されます。検査時間は、調べる不整脈や薬物の種類に従って30分から数時間にわたります。この検査は、問題のある不整脈に対して、もっとも適切な治療方針や他の選択肢の決定のために非常に役立つ情報を与えてくれる検査といえます。

  • 超音波心臓検査
    高い周波数の音波を心臓部にあててはねかえってくる音波(エコー)をコンピュータ処理によって映像化する画像診断方法です。

  • 心筋シンチグラフィー・核医学的検査
    心筋に取り込まれるアイソトープと呼ばれる放射性同位元素を静脈から注入して、一定時間後に特殊なカメラを使用して撮影をおこなう検査です。アイソトープの位置や量によって、心筋の機能状態が確認できる画像診断方法です。

  • CT検査やMRI検査などの画像診断検査

  • その他の特殊検査
    ・心筋生検
    ・圧受容体反射機能検査
    ・心拍変動解析
    ・遺伝子解析

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